2022年4月29日金曜日

北海道・北東北の縄文遺跡群の旅

 2022年4月21日(木曜)~28日(木曜) 7泊8日

第5波の新型コロナウイルス感染症対策のまん延防止等重点措置が3月21日に解除され、
東京都のリバウンド警戒期間(4月24日~5月22日)であったが
4月は感染者数も横ばいから減少になり、4人ともワクチンを3回摂取していたので
感染しないように十分注意しながら2021年7月27日に世界遺産登録された
北海道・北東北の縄文遺跡群」をレンタカーで訪問した。
北海道・北東北の縄文遺跡群は、17構成資産と2関連資産で構成されている。
まん延防止等重点措置明けとゴールデンウィーク前で人出が少なかった。
北海道・北東北の山々は残雪で白く、弘前城公園や五稜郭の桜は満開で桜祭りを行っていた。
札幌のモエレ沼公園の桜は、まだ五分咲きであった。
8日間、天候に恵まれて幸運であった。その間、東京は曇り雨の天気が続いていた。
北海道・北東北の縄文遺跡群の旅  行程図
北海道6遺跡、青森県8遺跡、岩手県1遺跡、秋田県2遺跡の17遺跡
および関連資産の2遺跡がある。

北海道・北東北の縄文遺跡群の旅  日程表(7泊8日)

費用:約100,000円/人
(航空券、乗船券、宿泊費、見学料、食事代等含む)

日本航空(JAL)、津軽海峡フェリー、ピーチ航空 計¥19,300
2022/4/21 羽田空港ー三沢空港 便名:JAL153(737-800WL) 出発時刻:07:50
2022/4/25 青森港ー函館港 便名:ブルードルフィン7便 出発時刻:07:40
2022/4/28 新千歳空港ー成田空港 便名:MM576(A320-200) 出発時刻:14:00
電車・バス  計¥3,662
2022/4/21 福生駅05:14ー07:02羽田空港第1ターミナル ¥1,427
2022/4/28 成田空港16:40ー17:40東京駅 京成バス ¥1,300
2022/4/28 東京駅17:46ー19:07秋川駅  青梅行き ¥935
レンタカー 計¥46,321
三沢ー青森(北東北4日間 556㎞)、函館ー新千歳(北海道4日間 約500㎞)
レンタカー代¥39,821+燃費約¥6,500


縄文時代
集落展開及び精神文化に関する6つのステージ
1a:居住地の形成(13,000BCE-7,000BCE)氷期の終焉と温暖化の開始
1b:集落の成立(7,000BCE-5,000BCE)温暖化と海進
2a:集落施設の多様化(5,000BCE-3,000BCE)火山噴火後に気候が安定
2b:拠点集落の出現(3,000BCE-2,000BCE)安定した温暖な気候
3a:共同の祭祀場と墓地の進出(2,000BCE-1,500BCE)気候の一時的な寒冷化
3b:祭祀場と墓地の分離(1,500BCE-400BCE)冷涼な気候
*紀元前:BCE(Before Common Era)

北海道・北東北の縄文遺跡群は、
農耕社会以前の人々の生活と複雑な精神性を示す17の考古遺跡から構成され、
紀元前13,000年頃から紀元前400年頃にかけて1万年以上もの長期間継続した
狩猟・漁労・採集を基盤とした定住の開始・発展・成熟を示す稀有な物証として
顕著な普遍的価値が認められる。
世界的にも稀な定住社会と考古遺物や墓、捨て場、盛り土、環状列石など、
そこで育まれた精緻で複雑な精神文化を伝える類まれな物証である。
(縄文遺跡群世界遺産本部パンフレットより)

日本には紀元前2300年頃、約26万人が住んでいたと言われている。
縄文時代晩期には気候変動で気温が下がり食糧難になり人口が約8万人にまで減少した。
当時の技術水準では寒冷期における食糧増産ができなかった。

北海道・北東北の縄文遺跡群の旅

二ッ森貝塚 (青森県七戸町)2a
小川原湖に面した段丘上に立地する集落跡。
平坦部に縦穴建物からなる居住域や貯蔵穴、その周辺に貝塚や墓域が形成されている。
貝塚には、下層にハマグリやマガキなどの海水性、
上層にヤマトシジミなどの汽水性のある貝殻が堆積し、
海進・海退による環境変化に適応した人々の暮らしがわかる。
遮光器土偶 二ツ森貝塚館
県重要文化財 鹿角製櫛 二ツ森貝塚館
鹿の角で作られた櫛は繊細で当時の高い加工技術を知ることができる。
青森県埋蔵文化財調査センター所蔵

小川原湖公園  桜が満開
小川原湖湖畔道路

長七谷地貝塚(青森県八戸市)関連資産 1b
海進期に形成された古入瀬湾の沿岸に立地する集落跡地。
多量の貝類、魚骨、動物の角や骨、釣針や銛頭などが出土した。
活発な漁労が行われた。八戸市桔梗野工業団地の中にある。

狩猟文土器 県重宝
八戸市博物館
深鉢形土器
八戸市博物館

是川石器時代遺跡 (青森県八戸市)3b
整備のため遺跡閉鎖中
一王寺遺跡、堀田遺跡、中居遺跡から構成されている。
中居遺跡からは竪穴住居跡やたくさんの墓の配石、捨て場、盛土が見つかっている。
捨て場からは、トチやクルミの殻、動物の骨、貝、弓、籠など発掘されている。
トチの実のアク抜きなどをする水場の跡も見つかった。
また、漆塗り土器や装身具も多数出土している。
漆塗り注口土器
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館
国宝 合唱土偶 風張1遺跡で出土
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館

御所野遺跡 (岩手県一戸町)2b
馬淵川沿いの丘陵上に立地する拠点集落。
東西に長い台地の中央に配石遺構を伴う墓域、祭祀場である盛土が形成され。
その周囲に大型・中型・小型の縦穴建物が配置されている。
盛土からは、大量の土器や石器と共に焼けた動物骨や堅果類、土偶などの
まつりの道具が出土し、火を用いた祭祀・儀礼が繰り返し行われたことを伝えている。
鼻曲り土面 重要文化財 蒔前遺跡出土
御所野縄文博物館
深鉢形土器 御所野縄文博物館
深鉢形土器 御所野縄文博物館

十和田湖展望台(発荷峠第一展望台)

大湯環状列石 (秋田県鹿角市)3a
大湯川沿いの丘陵上に立地する環状列石を主体にする祭祀遺跡。
万座と野中堂の2つの環状列石は川原石を組み合わせた配石遺構によって
二重の円環が形成され、それぞれに日時計状組石が配置されている。
環状列石の周囲には掘立柱建物が同心円状に配置され、
土偶や鉾形土製品、石刀などのまつりの道具が多数出土している。
大湯環状列石 (秋田県鹿角市)3a
深鉢形土器 大湯ストーンサークル館
動物形土製品 大湯ストーンサークル館

1300年の歴史を誇る銅鉱脈群採堀跡


伊勢堂岱遺跡 (秋田県北秋田市)3a  2022.04.22 15:43
令和4年度の遺跡環状列石の公開は、
4月23日(土)からで4月22日に来たため見学できなかった。
伊勢堂岱縄文館は見学できた。
米代川近くの丘陵上に立地する祭祀遺跡。
4つの環状列石が隣接して配置されている。
いずれも直径30m以上で、最大のものは45mである。
環状列石の周囲からは、土偶や動物形土製品、鉾形土製品、岩板、三脚石器、
石剣などのまつりの道具が多数出土している。
板状土偶 伊勢堂岱縄文館
動物形土製品 伊勢堂岱縄文館

弘前城跡三の丸の一角、弘前城公園内にある。
奇跡の土偶 弘前市立博物館
注口土器 弘前市立博物館
国指定重要文化財 猪形土製品 弘前市立博物館
博物館のマスコットキャラクター「いのっち

弘前城公園 はないかだ
約2600本の桜が満開、弘前さくらまつり実施中
弘前城公園 残雪の岩木山(津軽富士) 
弘前城本丸からの展望
弘前城公園 弘前城 国指定重要文化財
江戸時代に建造された天守や櫓などが現存している。

大森勝山遺跡 (青森県弘前市)3b
岩木山(1625m)の麓に作られた環状列石を伴う祭祀遺跡
冬至に太陽が岩木山山頂に沈む。
大森勝山遺跡 (青森県弘前市)3b
リンゴ畑から岩木山を望む

日本一長い三連太鼓橋(全長300m)
廻堰大溜池(まわりぜきおおためいけ)通称津軽富士見湖に架けられた
岩木山を背景にした舞橋の姿が鶴が空に舞う姿に見えるとも言われている。
津軽富士見湖から岩木山を望む

亀ヶ岡石器時代遺跡(青森県つがる市)3b
大規模な共同墓地の遺跡。
多数の土器や漆塗土器、ヒスイ玉類などが出土した。

亀ヶ岡石器時代遺跡の名前の由来
ヶ岡は、がたくさん掘り出されたことに由来する。
日本の縄文時代は、磨製石器が使われていたので「新石器時代」になる。
縄文時代の前に、打製石器が使われていた時代「旧石器時代」がある。
亀ヶ岡石器時代遺跡は縄文晩期になるので、
亀ヶ岡石器時代遺跡の石器時代は間違いではないが、
名称になぜ石器時代が付いたのかな?
そうであるなら他の縄文遺跡の名称にも石器時代を付けても良いと思うのだが。

1877年(明治10年)、アメリカ人の学者・エドワード.シルベスター.モースが
大森貝塚を発掘調査し、その調査報告書(英文)に大森貝塚から発見された土器に
縄目模様があることから「cord marked pottery」と名付けた。
その後、日本人の学者・白井光太郎が「縄紋」と訳した。
のちに縄目模様は「」ではなく「文様」であり
字義からして「」が正しいと解釈した学者もいた。
そして現在では「縄文」と書く研究者と「縄紋」と書く研究者の両方がいる。

狩猟・漁撈・採集・栽培を主とした時期を縄文時代と表記するようになったのは、
1920年頃~1940年頃かな?

国指定重要文化財 遮光器土偶 愛称「しゃこちゃん」  

田小屋野貝塚(青森県つがる市)2a  2022.04.22(金) 16:46
4月22日からガイド開始のボランティアさんは、今日初めての訪問者だと言っていた。
貝塚からは、ヤマトシジミなどの貝類を中心に
魚、鳥、鯨、イルカの骨で作った骨角器などが発掘された。
特にベンケイガイの貝輪の破片が多数見つかった。
縄文人の出土人骨 田小屋野貝塚
民家の庭から出土したので警察が調査に入った。
分析の結果、4000BCE~3500BCEの出産経験のある成人女性と分かった。

十三湖から岩手山を望む
十三湖のヤマトシジミ
十三湖は津軽半島北西にあり、岩木川の水と日本海の海水が一緒になった汽水湖で、
ヤマトシジミの生息にもっとも適した湖である。
美味しさと貝の美しさから黒いダイヤともいわれ高く評価されている。

大平山元遺跡 (青森県外ヶ浜町)1a
紀元前1300年頃の日本最古級の無文土器片や石斧、石鏃が出土した。
移動に適さない土器の出現は、定住の開始と考えられている。
 県重要文化財 無文土器片
2段目左から2つ目の縄文土器に付着した炭化物をAMS法による放射性炭素年代測定法の
算定で16,500年前(暦年較正年代法による)のものである可能性があるとされる。
外ヶ浜町大山ふるさと資料館

三内丸山遺跡 (青森県青森市)2b
陸奥湾を望む丘陵上に立地する大規模な拠点集落。(人口約500人)
大型掘立柱建物は、直径1mほどの6本の栗の柱を持つ巨大な木造建築物。
全長30mを超える建物跡に200人以上収納できる集会場を復元した。
復元時の太い栗材は、日本に無いのでロシアから輸入した。
三内丸山遺跡  (青森県青森市)2b
竪穴建物群や列状に並んだ土坑墓、貯蔵穴、道路などが計画的に配置されている。
儀式の場と考えられる盛土からは、
2000点を超える土偶やヒスイなどの祭りの道具が出土した。
栗やクルミなどの堅果類も大量に出土していて、
栗林を管理することで1年を通して安定した食料を確保していたことがわかる。
大型板状土偶 三内丸山遺跡

小牧野遺跡 (青森県青森市)3a
環状列石は斜面を平らにして作られた。平らな石が縦横に繰り返し並べられている。
三重の輪を囲むように環状配石や四重となる列石が配置され全体の直径は55mになる。
小牧野遺跡 環状列石
キクザキイチゲ 小牧野遺跡にて 
青森県有形文化財 クマ形土製品
愛称「こまっくー
青森市小牧野遺跡保護センター縄文の学び舎・小牧野館
青森県有形文化財 人形土製品
青森市小牧野遺跡保護センター縄文の学び舎・小牧野館
青森県有形文化財 赤彩切断壺型土器
青森市小牧野遺跡保護センター縄文の学び舎・小牧野館

津軽海峡フェリー
津軽海峡フェリー
便名:ブルードルフィン7便 
2022/4/25 青森港07:40ー11:20函館港 

五稜郭タワー(90mの)こいのぼりと満開の桜
五稜郭さくら祭り 約1600本のさくら
再建された箱館奉行所

垣ノ島遺跡(北海道函館市)1b
太平洋を望む丘陵上に立地する集落跡。
縦穴建物からなる居住域、土坑墓からなる墓域が形成され、
日常と非日常の空間が分離したことを示す遺跡。
墓域の出現は、集落に居住する人々の結びつきを強め、
祖先崇拝の形式にもつながったと考えられている。
垣ノ島遺跡 函館市縄文文化交流センター
国宝 中空土偶
4月25日(月)に訪問したが月曜日で休館であった。
翌日の26日(火)に再度訪れて見学した。
函館市縄文文化交流センター
旧南茅部町で農作業中の主婦によって発見された。
副葬品の足形付土版と装飾品等
函館市縄文文化交流センター

大船遺跡 (北海道函館市)2b 
太平洋を望む丘陵上に立地する拠点集落。
深さ2mを超える縦穴建物や貯蔵穴、墓、盛土などが配置されている。
盛土には膨大な量の土器・石器、焼土などが積み重なり、長期間にわたって祭祀・儀礼が行われたことを示す。鯨、マグロ、などの海獣骨や魚骨、栗やクルミなどの堅果類も出土し、沿岸地域の生業と精神文化を伝えている。
大船遺跡 深さ2mを超える縦穴建物跡 
大船遺跡 ボランティアガイドさん撮影

大沼からの駒ケ岳
大沼国定公園 集合写真を撮ってくれた親切な女性と共に
大沼国定公園 水芭蕉
大沼国定公園 遊覧船


鷲ノ木遺跡(北海道森町)3a 関連遺産
6月ごろから鷲ノ木遺跡見学会を開催する。
北海道最大規模の環状列石を伴う祭祀遺跡。
環状列石は楕円形の配石を中心に円環状の列石が2重に巡り、
直径37mのほぼ円形である。周囲には縦穴墓域や配石遺構がある。
鷲ノ木遺跡は道央自動車道E5の上にある。
森町遺跡発掘調査事務所
土偶
森町遺跡発掘調査事務所
イカ形土製品と森町阿部商店のイカ飯
森町遺跡発掘調査事務所

入江・高砂貝塚館
高砂貝塚 (北海道洞爺湖町)3b
内浦湾(噴火湾)を望む低地に立地する共同墓地。
土坑墓と配石遺構からなる墓域、貝塚が配置されている。
土坑墓には土器や石器、石製品などの副葬品を伴い、ベンガラが散布されている。
このほか抜歯した人骨や胎児骨を伴う妊産婦の人骨も確認されている。
高砂貝塚出土品 入江・高砂貝塚館

入江貝塚(北海道洞爺湖町)3a
内浦湾(噴火湾)を望む丘陵上に立地する集落跡。
貝塚からは多数の貝殻、魚骨、動物の」骨や角、加工した道具が出土した。
墓から幼いころに筋萎縮症に罹患した成人の人骨が見つかり、集落内で手厚い介護を受けながら生きていたことがわかる。
入江貝塚 竪穴住居跡
入江貝塚 復元竪穴住居
入江式文様土器  入江・高砂貝塚館
土偶  入江・高砂貝塚館
貝製装飾品  入江・高砂貝塚館

北黄金貝塚(北海道伊達市)2a
北黄金貝塚(北海道伊達市)2a
内浦湾(噴火湾)を望む丘陵上に立地する集落跡。
貝塚からは多数の貝殻、魚骨、動物の」骨や角、加工した道具が出土し、
海進・海退による環境変化に適応した漁労を中心とした人々の暮らしがわかる。
低地にある水場遺構では、意図的に壊された石皿ややすり石などの石器が大量に確認され、廃棄に伴う祭祀・儀礼が行われていたと考えられる。
再現した貝塚にはホタテ貝や鹿の角が置いてあった。


昭和新山 398m
昭和19年に始まった噴火活動で隆起した。まだ噴煙を上げている。
50年以上前に来たときは、周辺に畑の跡があった。

ウポポイ(民族共生象徴空間)案内図
ウポポイ(民族共生象徴空間)入口 入場料1200円
ウポポイ(民族共生象徴空間)
伝統的コタン
ウポポイ(民族共生象徴空間)
昭和初期 正装した男女

キウス周堤墓群 (北海道千歳市)3b
キウス周堤墓群 (北海道千歳市)3b
9基の周堤墓が群集している。最大のものは外径83m、高さ4.7mに達する。
周堤墓は円形の縦穴を掘り、掘った土を周囲に積み上げて構築する。
その内側に墓が配置されている。
国道337号線で周堤墓が分断されている。
現在、案内所やトイレを整備中であった。
国指定重要文化財 動物形土製品
千歳市埋蔵文化センター
土面 千歳市ママチ遺跡出土
千歳市埋蔵文化財センター

ガラスのピラミッド 愛称「HIDAMARI」2003(平成15)年開館
彫刻家イサム・ノグチ設計
モエレ山
あかり 
彫刻家イサム・ノグチ設計
OMPHALOS オンファロス
制作年:1988年 素材:庵治産花崗岩 サイズ:高さ45cm、幅115cm、重量800kg
彫刻家イサム・ノグチ設計

旧札幌低停車場  北海道開拓の村
旧開拓使札幌本庁舎  北海道開拓の村
馬車鉄道  北海道開拓の村
北海道百年記念塔
北海道札幌市厚別区の野幌森林公園に位置する記念建造物。 
1970年7月に竣工、1971年4月から一般公開された。